近年、あちこちで耳にする「サスティナブル」という言葉。
サスティナブルの考え方は幅広い分野に及んでいて、企業や個人単位でも意識が高まっています。
もちろんそれは、ファッションの分野でも同様です。
ここでは「サスティナブル・ファッション」とは何なのかを解説します。
持続可能な社会を目指すためにできることを改めて考えてみましょう。
- サスティナブルの意味
- 持続可能な社会に向けてファッションができること
- ファッション業界の現状
- J Loungeのサスティナブルな取り組み
- J Loungeの環境に配慮したブランドと服作り
- 今からでもできるサスティナブルファッションの実践方法
- まとめ
サスティナブルの意味
サスティナブルとは英語で「sustainable」、つまり「持続可能な」という意味の言葉です。
近年ではさまざまな企業がサスティナブルな取り組みをおこなっています。
サスティナブルが注目されるきっかけとなったのが、
2015年に提唱された「SDGs(世界における持続可能な開発目標)」です。
世界では日に日にサスティナブル意識を持つ人が増えており、
日本国内でも「SDGs Week EXPO」などの多くのイベントが開催されています。
【SDGs=Sustainable Development Goalsとは】
・貧困や飢餓、ジェンダーといった「発展途上国の基礎目標」
・企業の経済成長、クリーンエネルギーなどの「先進国が取り組むべき課題」
・気候変動や海洋資源、水質・環境資源などの「グローバルな課題」
SDGsの頭文字に含まれる「Sustainable」とは、ただ環境によいだけではありません。
厳密に言えば「地球の環境を破壊することなく、人々が長く平和で豊かな生活が持続できる」という意味です。
環境への負荷を減らすことだけではなく、生産、消費、廃棄によるさまざまな負荷を減らす。
生活をしている人、生産活動に関わる人が、平等かつ幸福に暮らしていける仕組みを作る。
これこそが「持続可能」な状態、つまりサスティナブルという考えなのです。
持続可能な社会に向けてファッションができること
これを読んでいる人の中には「サスティナブルとファッションの関係って?」と思う人もいるはず。
しかしこのふたつには密接な関係があるのです。
これまでのファッション業界では「大量生産、大量消費、大量廃棄」が当たり前でした。
安い商品を大量生産したのち、消費されなかった売れ残りを大量廃棄する。流行に合わせて服を買い替え、着なくなった服を廃棄する。
こうしたファッションの生産・消費の背景には、大量の水消費や染料による水質汚染などの「環境負荷」、
現地の人を不当な賃金で過酷な労働にあたらせる。
動物の毛や皮の搾取による犠牲、という風にさまざまな問題が含まれています。
しかしこのような状態は地球にとっても、そこへ住む人たちにとっても悪影響です。
決して持続可能なものではありません。
こうしたファッション業界の“悪循環”を断ち切る考え方が「サスティナブル」です。
つまり「サスティナブル・ファッション」とは、環境への配慮と人々の健康・幸せを守りつつ、
持続的に楽しめるファッションと言ってよいでしょう。
環境負荷に配慮した製品の原材料調達はもちろん、製造過程、販売~販売後のことまで考えた取り組みを行う。
今後はこうしたサスティナブルな考え方が、ファッション業界のスタンダードになっていくのです。
ファッション業界の現状
ファッションが店頭で販売されるまでには、原材料の調達から繊維の加工、染色、輸送などさまざまな工程があります。 実はこのすべての工程で“環境負荷”が生じているのをご存じでしょうか? この環境負荷こそが、ファッション業界が抱えている課題といえます。
衣服が生み出される際の環境負荷とは
環境省のデータによれば、原材料調達から製造までの過程で生じる“年間環境負荷”は以下のとおりです。
・CO2排出量……約90,000kt
・水の消費量……約83億㎥
・端材等の排出量……約45,000t/服1.8億着分に相当
服1着あたりに換算しても、500mlペットボトル255本分のCO2、浴槽11杯分もの水資源を消費しており、
環境へ大きな負荷がかかっていることがわかります。
ファッションの生産にはさまざまな問題が山積みになっている
大量生産が当たり前となった現代のファッション業界では、服の生産に関わる人たちの“労働環境改善”も大きな課題です。
また大量生産された服はいまだ大量廃棄されており、毛皮や革製品のために動物が犠牲になっている事実も見過ごせません。
【ファッション業界が抱える問題】
・化学物質を含んだ排水(染料水など)による水質汚染
・二酸化炭素の排出量増加
・低賃金、かつ過酷な環境での労働問題
・まだ着られる衣類の大量廃棄(衣服ロス)
・毛皮製品をつくる上で生じる「動物搾取」
環境問題はわたしたちの暮らしに直結するものであり、早急に解決しなくてはならない課題といえます。
そして、ファッション業界における数々の「問題」を解決するための策として生まれたのが「サスティナブルファッション」です。
“問題解決”のためにサスティナブルファッションが生まれた
サスティナブルファッションとは、以下のような方法でつくられた衣服・ファッション小物を指します。
<サスティナブルファッションの例>
・環境負荷の少ない染色・製造方法を導入した服
・再生繊維でつくった服
・端材を再利用することで、廃棄物の量を減らせる服
・人権に配慮したクリーンな労働環境の整備
・本革や毛皮ではなく、人工のエコレザー、エコファーの使用
・アイロンなしでエコに着られる服の生産、販売
・大量生産の中止、通販による受注販売などで“衣服ロス”をなくす
近年では、販売からさらにその先の「リユース・リサイクル」へ取り組んでいるブランドも増えています。
こうした取り組みにより、人類が抱える課題・問題を解決し、持続できる産業にしていくことがサスティナブルファッションの目的です。
SDGsとサスティナブルファッションの関係
サスティナブルファッションには、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と密接な関係があります。
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」とは
目標12「つくる責任 つかう責任」とは“持続可能な消費・生産形態を確実にする”という目標です。
同目標では全部で8つの達成目標と、3つの実現方法が示されています。
これらには“フードロス”についての項目も含まれていますが、ほぼすべてがサスティナブルファッションと大きく関わる内容となっています。
【8つの達成目標】
持続可能な消費と生産の10年計画※を実行する。 先進国がリーダーとなり、開発途上国の開発の状況や対応力も考えに入れながら、すべての国が行動する。
2030年までに、天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする。
2030年までに、お店や消費者のところで捨てられる食料(一人当たりの量)を半分に減らす。 また、生産者からお店への流れのなかで、食料が捨てられたり、失われたりすることを減らす。
2020年までに、国際的な取り決めにしたがって、化学物質やあらゆる廃棄物(ごみ)を環境に害を与えないように管理できるようにする。 人の健康や自然環境に与える悪い影響をできるかぎり小さくするために、大気、水、土壌へ化学物質やごみが出されることを大きく減らす。
2030年までに、ごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをして、ごみの発生する量を大きく減らす。
とくに大きな会社やさまざまな国で活動する会社に、持続可能な取り組みをはじめ、 会社の成果を報告する定期的なレポートに持続可能性についての情報をふくめるようにすすめる。
国の政策や優先されることにしたがって、国や自治体がものやサービスを買うときには、 それが持続可能な形で行われるようすすめる。
2030年までに、人びとがあらゆる場所で、持続可能な開発や、自然と調和したくらし方に関する情報と意識を持つようにする。
※ “二酸化炭素の排出を減らすライフスタイルや持続可能な消費・生産を実現する社会の仕組みを作ること”を目的とした計画。2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で決められました。
【3つの実現方法】
開発途上国が、より持続可能な消費や生産の形をすすめられるよう、科学的および技術的な能力の強化を支援する。
地域に仕事を生み出したり、地方の文化や特産品を広めるような持続可能な観光業に対して、持続可能な開発がもたらす影響をはかるための方法を考え、実行する。
資源のむだづかいにつながるような化石燃料(石油など)に対する補助金の仕組みを変える。 そのために、各国の状況に応じて、税金の制度を改正したり、有害な補助金があれば環境への影響を考えて段階的になくしたりして、化石燃料が適正に売り買いされるようにする。 そのとき、開発途上国の状況や必要としていることなどを十分に考え、貧しい人や影響を受けるコミュニティが守られるようにして、開発にあたえる影響をできる限り小さくする。
出典リンク:12.つくる責任、つかう責任 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
サスティナブルな社会実現には生産者・消費者が協力する必要がある
上記の目標12をひとことで表せば、「大量生産・大量消費」をやめて、「持続可能な生産・消費」を目指す目標です。 ただし目標12の実現には、生産者と消費者の双方が行動する必要があります。
企業側が意識すべき「サスティナブル」な取り組み
もの(食品や日用品、ファッションなど)を生産する企業は、資源を消費し環境汚染を招く「大量生産」ではなく、 「持続可能な生産方法」へ切り替えなくてはなりません。 そのためには、天然資源の管理や地球にやさしい生産技術の開発、発展途上国への科学・技術能力の支援などの具体的な対策が必須です。 加えて、廃棄を減らす取り組みについても周知・実行していく必要があるでしょう。
消費者側が意識すべき「サスティナブル」な取り組み
また、生産された“もの”を購入する国・自治体・個人は、持続可能な社会に対する「知識」を身につけておく必要があります。 そのうえで、サスティナブルなファッションアイテムを選択したり、 リサイクル・リユースなどでごみを減らしたりすれば、次第に持続可能な社会へと変化していくはずです。
天然資源が足りなくなればおしゃれも楽しめなくなる
ファッション業界では、流行に伴い大量生産を繰り返してきました。 その生産過程では、多くの天然資源が使われています。 その一方で、まいにち多くの服が廃棄されている事実もあります。 手放された服のうち7割近くはそのまま廃棄されているとのデータもありますが、それではせっかくの天然資源を捨ててしまっているようなものです。 地球で生み出される「天然資源」には限りがあります。 現在のような大量生産を繰り返していると、地球の資源は底を尽きてしまうでしょう。 資源が枯渇すれば、今のような衣服は生産されなくなり、大好きなファッションが楽しめなくなる可能性もあります。 サスティナブルファッションを積極的に取り入れれば、「天然資源の大量消費」および「環境汚染」を防ぐことにつながります。 そうなれば、今までと同じようにおしゃれを楽しみ続けられる未来が手に入るでしょう。
サスティナブルな取り組みで資源と環境を守り、健全な社会をつくる
SDGsに沿ってサスティナブルな社会を目指すなら、“環境汚染”についても考えていく必要があります。 生産過程で水や空気を汚染し続ければ、健全な暮らしを脅かすことにもつながります。 そうなると困るのが、立場の弱い発展途上国です。 このまま大きな国が地球の資源を独占し、環境を破壊していけば、発展途上国は健全な暮らしができなくなる可能性もあります。 小さな国の犠牲のもとに「一部の国だけが持続可能な社会」を築き上げるのは、もってのほかといえるでしょう。 特定の国の人たちが苦しい暮らしを強いられぬためには、 「天然資源を管理し、適切に使う取り組み」および「環境にやさしい生産が当たり前になること」が重要です。 わたしたちがこれら2つを満たした「サスティナブルファッション」を選ぶことは、 すべての人が健全な暮らしを実現させるための手段のひとつともいえるでしょう。
J Loungeのサスティナブルな取り組み
J Loungeでは「サスティナビリティ(持続可能性)」を重要なものと考えております。
たとえばペットボトルやビニール、プラスチック容器をリサイクルした「リサイクルポリエステル」の活用や、環境にやさしい薬剤の使用。
原料にダメージの少ない特殊な染色方法で加工をするなど、特徴ある製品によって持続可能なファッションを提案しています。
電力消費を削減するために、アイロンなしで綺麗に着られる服の生産・販売に力を入れているのも特徴です。
また不要になったJ Lounge製品は回収させていただき、リサイクルして再製品化する取り組みもおこなっています。
環境に配慮した商品作りを徹底し、ファッションを楽しみながら持続可能な社会を目指す。
J Loungeでは今後も、サスティナブルな服作りを継続していきます。
J Loungeの環境に配慮したブランドと服作り
実はアイロン時間を1分短縮すれば、電気使用量は20Wh削減されます。 アイロンいらずのシワになりにくいアイテムを手にしておけば日常生活の消費電力を抑え、 手間もかからないので長く愛用でき無駄買いも抑えられて一石二鳥。
今からでもできるサスティナブルファッションの実践方法
サスティナブルな服を選んで購入する
サスティナブルファッションを実践する第一歩は、サスティナブルな取り組みで生み出された服を選び、購入すること。 サスティナブルな素材を使用した服や、環境負荷の少ない生産方法にこだわった服なら、買うだけでサスティナブルな取り組みに貢献できます。 また「2WAY」「メンズ・レディース兼用服」のような、複数の着方ができる服もサスティナブルファッションといえるでしょう。 着回しがしやすい服なら何着も購入する必要がなくなり、環境負荷を減らすことにつながります。
“長く着続けられるか”に注目して購入する
サスティナブルファッションを楽しむには、長く着続けられる服を選ぶことも大切。
服1着を生産するときには、約2,300Lもの水を消費し、約25.5kgものCO2を排出します。
つまり服を生産すればするほど、大きな環境負荷が生じるのです。
しかし、長く着られる服を選んで大切に使えば、生産にかかる環境負荷を減らせます。
また、服が破れた場合は“捨てる”のではなく、つくろったり、リメイクをしたりするのもおすすめです。
服を消耗品として考えるのではなく、「どうすればまた着られるか」を考えてみましょう。
服の生産背景、素材について知識を身につける
サスティナブルファッションを意識するなら、服の製造過程や素材についての知識を身につけることも大切です。 いくら素敵な服でも、それが環境に大きな負荷がかかる方法で生産されているとしたら? また、生産に携わる人たちの“健全な暮らし”を阻害しているとしたら、サスティナブルに反します。 最近では、環境に配慮した製造方法、素材を取り入れているアパレルブランドも増えています。 ブランドについてサスティナブルな取り組みをしているか調べたうえで服を購入するのも、立派な「サスティナブルファッション」への取り組みです。
いらなくなった服はリサイクルへ
買ったものの着なくなった服は、廃棄するのではなく「リサイクル」へ回すとよいでしょう。
具体的には家族や友達に譲ったり、古着の回収を行っているお店に回収してもらったりといった方法が挙げられます。
日本の有名企業でいえば、「ユニクロ」が行っている衣服の回収サービス(RE.UNIQLO)などが有名でしょう。
それ以外には、自治体の古着回収を利用するのも良い方法です。
リサイクルされた服は、古着として販売されたり、新たな洋服へと再加工されたりして再びわたしたちの手元へとやってきます。
不要な服のリサイクル率を上げられれば、環境への負荷を減らすことにもつながるでしょう。
古着をファッションに取り入れる
サスティナブルな取り組みをしたいときは、古着を購入するのもおすすめ。
通常、着ない服は廃棄されてしまいますが、廃棄に伴う環境負荷(輸送時のガス排出、焼却処理による環境負荷、電力消費など)は計り知れないものです。
古着を購入すれば、こうした廃棄に伴う環境負荷を減らすことができます。
古着にはトレンドの服にはないファッション性もあるので、個性を演出したいときにもおすすめです。
洗濯時には洗剤を使いすぎない
サスティナブルファッションを心掛ける際に見落としがちなのが、洗濯の方法です。
洗濯洗剤にはマイクロビーズが含まれており、洗剤を使いすぎると海洋汚染の原因になります。
洗剤は適量を守って使用しましょう。
また、自宅で手軽に洗濯できる服や、汚れが落ちやすい服(防汚・防油加工を施した服など)を選ぶのも賢い選択です。
このような服なら洗濯に使う水の節約にもなりますし、お手入れが簡単になるメリットもありますよ。
まとめ
地球上で人々が平和に、かつ豊かに暮らしていけること。 その目標を叶える「サスティナブル」とは、人にも環境にもやさしい考え方です。 J Loungeでは今後も、サスティナブル・ファッションとは何か、企業としてできることはないかを追求し続けます。